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セル・エクササイズ 2



現在、私は全国のあらゆる競技のトッププロアスリートのトレーナーとして直接指導を行っています。
最近ではアスリートだけでなくスポーツ指導者、トレーナーへの正しいトレーニングや新しいエクササイズの指導を行っています。
第41回でもセル・エクササイズについて概略を説明しました。
セル・エクササイズの本当の意味は組織や器官である 単に筋肉や心肺機能を向上させるだけではなく細胞の機能そのものを向上させる画期的なトレーニング理論です。
アスリートが競技パフォーマンスを向上させるためには多くのことが含まれます。
食事、サプリメント摂取、休養、睡眠、コンディショニング、ケア、治療までもが広義のトレーニングなのです。

順天堂大学大学院医学研究科で自律神経の研究では日本における第一人者 小林弘幸教授と一緒にセル・エクササイズの研究・開発に取り組み プロボクシング、キックボクシング、空手、総合格闘技を始め国内のあらゆるスポーツ分野のトップアスリートへセル・エクササイズを導入して指導者も含めて指導してきました。
アスリートのみならず現在では指導者にもその考えが浸透しつつあります。
学校教育の場や陸上、空手、バレエなどジュニアの指導においてもセル・エクササイズの目覚ましい効果は確認されています。

これまでコンディショニング、トレーニング、ケア、治療は別々に考えられてきましたが、すべてを統合して指導できる指導者が真の指導者と言えます。

今回はそのセル・エクササイズの中でもコンディショニングに焦点を当てて解説したいと思います。
コンディショニグとしてスポーツの現場で行われているストレッチ・・・
広く行われているストレッチの危険性に関しては驚くことにほとんど知られていません。
ストレッチはあたりまえ
ストレッチは行えば行うほど、柔軟性が増加し、関節可動域が向上する?
本当でしょうか?
アキレス腱伸ばしを痛みにこらえて行えば行うほど下腿の筋肉はほぐれアキレス腱自体も柔軟性が増す?
とんでもない誤解であり 直ちに止めるべき行為です。

アキレス腱炎、アキレス腱周囲炎は繰り返された過剰な張力によって起こる慢性の炎症で、アキレス腱本体の微小断裂が原因とされています。
つまり、ちぎれてほころびそうなアキレス腱をもっとちぎれろ!と無理やり引き延ばしているようなものです。
これでは増々、痛みも増強し、炎症は完治しません。

さらに、強度のストレッチで下腿の屈筋群の過剰な伸展により筋膜がぱんぱんに張った状態でいきなり走ったり強い負荷を下腿に加えると肉離れを起こしてしまいます。

私が指導を行う元ジュニアオリンピック日本代表 五十嵐憲文氏が主宰するジュニアの陸上クラブチームでは従来のストレッチを一切とりやめました。するとこの4年間で練習中に肉離れなどの怪我をする子供が皆無になり、身体のバランスが良くなり所属している子供たち全員が自己記録を更新されました。
バレエ、空手、レーシングドライバー、プロゴルファー・・・多くのアスリートが従来のストレッチをやめてから確実に身体の動きが良くなった現実。

まさしく従来のストレッチが怪我の原因でありコンディショニングどころか身体能力を下方修正していたのです。

教育現場で当たりまえのように行われるアキレス腱のばし・・・
これほど無意味で危険な行為はありません。
少なくともこのコラムを読んでいるアスリートの方は、今後、絶対に行わないでください。

コンディショニングは、練習や競技を行う前に身体の状態が最もベストに持っていく調整です。
従来の危険なストレッチが確実に身体を蝕んでいるのです。

最近、キックボクサーが、●●ストレッチととんでもない痛みを関節や腱、筋肉に与えて行うストレッチの書が氾濫しテレビでも特集され称賛されますが、医師として絶対に反対の立場をとっています。
このような身体を破壊するストレッチが横行すればアスリートのみならず多くの子供たちの身体が蝕まれてしまいます。
このキックボクサーがなかなか王者になれないのは、このストレッチが問題なのかもしれません。
実験的に私が指導を担当させていただいています 
空手世界王者、キックボクシング王者、元王者達(小川翔選手、野杁正明選手、日下部竜也選手、大石駿介選手、ダニロ・ザノリニ選手)に従来のストレッチを行った場合と私が開発した緩めるストレッチを行った場合では、全く身体の動きに差が出ました。
勿論、従来のストレッチは身体の動きが悪くなりパフォーマンスが極端に低下し、セル・エクササイズ(新しいストレッチ法)では身体がスムーズに動くようになりパフォーマンスが全員、明らかに向上しました。
コンディショニングは筋肉を強引に伸ばしたり緩めたりするのではなく筋肉を緩やかに収縮させたり緊張させることが最も効率よく本来の筋肉のパワーを生み出し 脳、神経、筋肉の回路をスムーズにつなぐことができるようになるのです。
このため呼吸法も重要です。
つまり、自律神経機能を向上させることがコンディショニングの重要な目標なのです。

ストレッチ…あなたは何も考えずにやっていませんか?
ストレッチをした後、とても身体が重く感じませんか?

試に、片脚だけ 30秒ほどアキレス腱伸ばしを強めに行って 歩いてみてください。
アキレス腱伸ばしをした脚はとても重く感じられ 歩行が困難なっているはずです。
こんな状態で走ったりキックしたりしたらどうなるのでしょうか?

医学界でも何十年も傷には消毒!ガーゼ!が常識でしたが、以前このコラムで解説しましたように 今では傷には消毒は禁忌、ガーゼを貼る行為はNGです。

従来のストレッチの危険性も必ず近年、見直され学校教育の現場から消えてなくなると予想します。
なくすようにしなければならないのが私の使命でもあります。

それでは実際、コンディショニングをどうすればよいのか?特に新しいストレッチ法(セル・エクササイズ)に関して解説してみましょう。


セル・エクササイズ

頭と顔のタッピングからスタート(副交感神経機能を高めてからエクササイズ)
いきなり交感神経を高めるエクササイズはタブー
リラックスした状態からスタートすることはより細胞へ血流を供給し心臓をはじめ各臓器や筋肉、靭帯などの組織に負担が少ない
副交感神経機能をアップさせると身体の力みがとれてスムーズに身体全体が連動して動くようになる。

1)頭全体と眉間、目の周りをタッピング (20秒)


2)まず、両手を交差させお互いの手のひらを合わせる。


その状態で 身体を大きく伸展させながら前後、左右(後ろに身体をそらす時は息を吸って、前屈するときは息を吐く、右、左に身体を曲げる時は息を吐いて立位に戻るときは息を吸う)交差させ、手のひらを合わせた状態で身体を回旋させる。時計回り、反時計回り(ゆっくりと呼吸)
 

ポイント:肩甲骨の動きをスムーズにし身体全体を連動させてストレッチ、腸腰筋を緩め大腿の拳上をスムースにする。全身を均等に十分にストレッチ、呼吸と連動させることで副交感神経機能を向上させる。最も身体が伸展させることができる負担がかからない有効なストレッチ 手の先から足のつま先まで均等に十分ストレッチ可能で身体が一体化しているイメージが湧く

3)交差させロックした手首を身体の前面で大きな円を描きます。(時計回り、反時計回り)

ゆっくりと呼吸しながら行う。交差した両手で遠くにあるものをつかもうとするような感じで行う。

ポイント:肩関節周囲、肩甲骨の可動域を広げ上半身とインナーユニットのスムーズな動き、連動

4)肩幅よりやや広く足を開いて立位になり両手を臍の下を押さえてゆっくり腹式呼吸
5秒吸って5秒吐き 吐ききった状態で息を5秒止めインナーユニットを保持する


ポイント:ドローインテクニックで自律神経機能向上と横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群を強化し内臓の強化

5)片脚立ちになりもう一方の膝を曲げ踵をお尻の方へ近づけ 足首の少し上を同じ側の手で持ってゆっくりと左右に揺らす(脚を変えて両方行う)
この時、胸を張って身体全体をやや伸展させる。


ポイント:足関節、膝関節、股関節を緩め下半身のリラクゼーションとダイナミックストレッチ
片脚立ちでバランス感覚を向上させる

6)身体を軽く左右に振って身体の全面で両手を高く上下へ挙げ下げを行う。
この場合、腕には一切力を入れず脱力して身体の動きの慣性で両腕を手の指先に意識を入れ投げ上げるように揺する


ポイント:体幹の姿勢を保持するインナーを鍛えると同時に中枢である体幹の動力を末端へ伝える。パフォーマンスの際、体幹からスムーズに動きを作れるように脳と神経と身体にインプットできる。

7)身体を軽く揺すって手を交互に前後へ
この場合、腕には一切力を入れず脱力して身体の動きの慣性で両腕を手の指先に意識を入れ投げ上げるように揺する


8)身体を回旋させ両腕をブラブラさせ メリーゴーランドのように動かす

これで完全に体幹と上半身がほぐれます。


セル・エクササイズは腰や肩、膝などの各部位への負担を大幅に減少させますから子供から老人まで、ほとんどスポーツを行わない女性でも簡単に安心して負担なく取り組むことができます。

ポイントは
ストレッチは部分ストレッチではなく全体を連動したストレッチ
必ず身体全体を連動させる。
末端から中枢まで
中枢である体幹の動きが末端を連動させる
上半身・インナーユニット(腹部の横隔膜から骨盤底筋群)・下半身を連動させる。

ポイントは 
肩甲骨、インナーユニット、股関節、足関節

・肩甲骨と股関節 の可動域を広げ 柔らかいスムーズな動き 
・末端を固定した動き(同時にダイナミックストレッチができる)
・呼吸法との連動
・身体の上部と下部を繋ぐ 体幹である 腹部(インナーユニット)の運動を注目(横隔膜、腹横筋、骨盤底筋群、多裂筋で囲まれた臓器が入っている部分)

肩甲骨の周囲がほぐれ 股関節がほぐれ動きがスムーズになることでエクササイズ能力が向上・・・

セル・エクササイズは回旋運動を主体として比較的ゆっくりと筋肉と呼吸を意識して行います。

特に回旋系の動きを主体として末端から中枢まで。
いつも連動した動きとリズムで行います。

・回旋系が主体
・呼吸法と連動
・ドローインなどインナーマッスル強化
・ストレッチは末端を固定して全て中枢と連動した動き
・常に呼吸と筋肉や関節の動きを意識する


セル・エクササイズは細胞を賦活させ身体全体の機能を向上させるエクササイズです。
コンディショニグを行うには最も適したテクニックだと考えています。
コンディショニングは肉体だけではなく 自律神経機能を同時に整えるべきです。
これまでコンディショニグはフィジカルに注目されストレングストレーナーが主としてストレッチを主体としてその指導を行ってきました。
最も人間の身体をよく知って解剖学、運動生理学の理論と実践が高いレベルで可能な医師がトレーナーとして現場に立つことは大きな意義を持ちます。

生体は細胞から構成され細胞の機能は、生体の根源です。組織も器官も細胞から構成されています。セル・エクササイズは確実に生体の機能を向上させ アスリートのパフォーマンス向上のみならず 一般の方の健康にも役立ちます。


このセル・エクササイズを、レーシングドライバー、プロ野球選手、プロゴルファー、陸上選手を始めプロボクシング、キックボクシング、空手、総合格闘技などの多くの格闘家へ指導を行い目覚ましい成果が得られています。
大石ジム(名古屋)ではこのセル・エクササイズを全国の格闘技ジムとしては最も早く取り入れ選手の肉体のみならず科学的精神のコンディショニングに努めています。セル・エクササイズは確実に格闘家の競技パフォーマンスを向上させます。このセル・エクササイズをいち早く導入した大石ジムでは格闘界において多くの王者を輩出することになるでしょう。

第41回でも紹介させていただきましたがK1甲子園を高校1年生で制した 野杁正明選手(大石ジム)もセル・エクササイズ指導を受け Krush YOUTH GP 2011優勝。若手格闘家で最も注目を集める最強王者の一人です。


柔よく剛を制する。

力任せのストレッチから技のストレッチへ…
格闘技界の指導法も大きな変革の時です。

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